南美端小学校の話2 ◆AjN2xCq7C6

由乃が5年生になって3ヶ月。最初は驚いた「女の子が男の子を躾けてあげる」とい
う南美端小学校高学年のルールだったが、今はすっかり慣れて、毎日たっぷり男の子
をくすぐっている。悲鳴のような笑い声を上げ、体をくねらせて悶え、きついくすぐ
りに許しを請う男の子たちの愛らしい姿に胸をときめかせる楽しい日々を送る由乃だ
ったが、ある日こんなことを思った。

(お兄ちゃんて、くすぐられるとどんな顔で笑うのかな)

 現在中学1年生の由乃の兄、満。同じ家に住んでいるのだから当然彼も同じ小学校
に通っていた。つまり卒業までの2年間毎日女の子に責められ、暗示によって思考ま
で完全に支配されていたはずなのである。
 授業中にどうしても兄をくすぐってみたくなった由乃は、家に帰ったらさっそくや
ってみようと決意するのであった。

 そして。

「ねーせんせー」

 次の日、由乃は学校で担任の川崎先生に兄の事を尋ねてみることにした。

「せんせーって由乃のお兄ちゃんの担任だったんでしょ?」
「由乃ちゃんのお兄ちゃんて言うと……満君ね。ええ、その通りよ」
「だったらお兄ちゃんも女の子にしつけされてたんでしょ?けど、昨日由乃がやって
もいうこと聞いてくれなかったの。なんで?」

 それを聞いて川崎先生は事の次第を理解した。つまるところ由乃は日頃クラスの男
子をくすぐるノリで満をくすぐろうとして怒られたのだろう。それも当然だ。男の子
を躾けるための暗示は卒業時に一旦封印しているのだから。

(さて、どうしようか)

 川崎先生は満にかけた封印を解くべきか迷っていた。
 羞恥やくすぐりとは無縁の普通の生活を長く続ければ続けるほど、躾が始められた
時の恥ずかしさが増し男の子の心にくさびとして深く打ち込まれる。この小学校で1
年から4年までは高学年に比べておとなしい教育方針が採られているのも、卒業時に
暗示が封印されるのもそのためだ。

(まだ3ヶ月……少し早いけど、由乃ちゃんなら大丈夫かしら)

 結局、川崎先生は由乃にある情報を教えてあげることにした。

「由乃ちゃん、満君が小学校の時みたいないい子になるにはスイッチを入れてあげな
きゃならないの。それはね――」

………………………………………………………………………

「ねー、お兄ちゃーん」
「なんだよ。もういきなりくすぐるのは無しだぞ」

 部屋で宿題をやっていた満のところに来た由乃だったが、満は昨日のことをまだ怒
っているのか少しむすっとしていた。

「わかってるよ。今日は昨日のおわびに来たの」
「ホントに反省してるのか?」
「うん。だから今度は教わったばかりの『おまじない』してあげようと思って」
「……ん……っ」

 その言葉を聞いて満の動きが止まる。

「……どんな、おまじないなんだ?」
「とりあえずおなか出してくれる?」
「わかったよ」

 満は何の疑問も持たずシャツを捲り上げる。これがくすぐったさで満ちた恥ずかし
い日々の再開の合図だとは知らずに。もっとも知っていたところで満自身に止める事
は出来なかったのだが。

「ありがと。それでね、こうするんだって」

 そう言って由乃は満のお腹にそっと手のひらを押し当てた。

「あ……!」

 ほのかに熱を持った感触がおへその下に触れ、思わず満の体がぴくんと震える。

「『いい子いい子いい子~』」
「うっ…あぁ……!?」

 そのまま由乃は円を描くように満の下腹部をなで始めた。小さい子供をあやすよう
に『いいこいい子』と声をかけながら。

(なんだよこれ……由乃になでられてるとこがあったかくてジンジンして……なんか
気持ちいい……頭がボーッとしてく…)

 じんわりと満の下腹部から全身へと熱が広がっていく。その心地よさに満の目はと
ろんとしていき、体から力が抜けていく。暖かい布団の中で二度寝するような幸せな
感覚に包まれて満は半睡状態に落ちていった。
 満が反応しなくなったのを確認した由乃は、川崎先生から教わったキーワードを囁
きかけた。

「『満はお風呂が大好き』」
「んっ…う……俺、は、お風呂が、大好き、です…」

………………………………………………………………………

「……ん?」

目を覚ました満がきょろきょろと見回すと、彼が覚えているよりも10分ほど時間が
経過していた。

「あー、うたた寝してたかー」

 体を動かすとくきくきと音がなる。そういえば由乃が来てたような気がするけど……
と思ったところで、自分を呼ぶ母親の声が聞こえたので満は台所に向かうことにした。

「いただきまーす」

 母、幸恵の手料理に出来合いのおかず1品を加えたいつもどおりの食卓。勢いよくご
飯とおかずを頬張る満と、にこにこしながらそれを見守る幸恵。あまりにいつもどおり
の光景を見ながらゆっくりご飯を食べる由乃は、先ほどの『おまじない』が本当に効い
ているのかどうか心配になってきた。

 そして時間はさらに流れ9時前。

「由乃、今日はなかなかお風呂に入らないのね」
「えっ?うん、テレビ面白くってさー。由乃、お兄ちゃんのあとでもかまわないよ」
「じゃあ俺、先入るぞ?」
「いいよー」

 そう返事をした由乃だが、着替えを持って脱衣所に入っていく満の姿を思わず目で追
ってしまう。

「本当にどうしたの?あ、もしかして久しぶりにお兄ちゃんと一緒にお風呂に入りたか
ったとか?」
「もうっ、お母さんってば!そんなんじゃないって……ないわけじゃないのかな?」
「いったいどっちなのよ」

 否定しているのか肯定しているのかわからない由乃の言葉に幸恵は思わず苦笑した。
素直なんだか素直になれないんだか。そんなことを幸恵が思っていると、キィ、とド
アの開く音がして風呂に入ったはずの満が姿を見せる。

「あら、どうしたの満」
「いや、その……あれなんだけど……」

 所在なさげな様子の満はぶつぶつとつぶやきながら視線を彷徨わせる。言いたいこと
があるのに言えない。そんな様子だった。それを見てようやく、由乃は自分の『おまじ
ない』がうまくいっている自信を持った。

(先生が言ったとおりだ……!)

 なら、満が何を言おうとしているのかも由乃が思っているとおりだろう。だから、満
の口ではっきり言わせなければならない。

「ねえお兄ちゃん、こういうときは『おねだりしたいことをはっきり言いなさい』って
先生に言われなかった?」
「………!!」

 意識に働きかけ命令を実行させるキーワードが織り込まれた由乃の言葉に、今の満が
逆らうことは出来なかった。それがどんなに恥ずかしいことでも。

「母さん!『お願い、俺と一緒にお風呂に入って下さい』!」

それを言われた幸恵は一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐに優しい笑顔に変わった。

「最近ずっと平気だったけど、またぶり返したの?」
「うん、そう…なんだ」

 妹の前でこんなことを言ってしまった羞恥に顔を紅く染めて満は俯く。

「ねえお母さん、どういうことぉ?」
「実はね、満ってば」
「やめろよ母さん!由乃に言うことないだろ!?」
「由乃ももう5年生なんだから知っていてもいいころよ」

 満の抵抗を意に介さず、幸恵は由乃に秘密を明かす。

「満はね、お風呂が怖くて一人で入れないの」

 この問題が明らかになったのは満が5年生になってすぐの三者懇談の時だった。今ま
でそんな素振りをまったく見せていなかったのだが、実は満はお風呂を苦手にしていた
のだという。当時担任だった川崎先生がそんな親子に与えた対応策は、幸恵が満をお風
呂に入れてやる、というものだった。

「スキンシップというのはとても大事なんです。しっかりと抱きしめて、安心してお風
呂に入れるようにしてあげてください」
「恐怖心というのは笑いでまぎれます。怖がらずにすむようくすぐりながら入浴すれば
いいんですよ」
「満君のくすぐり方はこれからもお手紙で伝えますから、指示は守るようにしてください」
「満君が『一緒にお風呂に入ってほしい、ってお願いしてきたら絶対にお願いを聞いて
あげてくださいね。』約束ですよ」

先生の言葉は幸恵の心に深く深く刻まれた。

「それ以来満が怖がる日には一緒にお風呂に入ってあげることにしたの。結局小学校を
卒業するまで毎日だったんだけど」
「ふーん。そういえばお兄ちゃんとお母さんいつもお風呂一緒だったよね」

 ちなみに。そのことに関して疑問を抱かないよう由乃も暗示にかけられていたのだが
それは彼女のあずかり知らぬことだ。

「ええ、そうね。でも今日からは由乃も一緒に入りましょうか」
「そんなっ、母さん!」
「由乃も学校で男の子のくすぐり方教わってるんでしょ?」
「うん。先生にも上手だってほめられたよ」
「なら問題ないわね。今日は由乃と二人で満のことこちょこちょしてあげるわ」

 しぶる様子の満だったが、幸恵と由乃に手を引かれて脱衣場に入ってからはおとなし
かった。

「さ、脱ぎ脱ぎしましょうね」
「一人で脱げるよ…うぅ…」

 妹の前で小さい子供のように服を脱がせてもらうのは恥ずかしくてたまらなかった
が、風呂周りでは逆らうことが出来ないよう暗示がかけられている満は幸恵の言葉に
従うしか出来なかった。

「大丈夫だよ、今のお兄ちゃんすごくかわいいから。ほーらいい子いい子♪」
「あっ……ああぁ……」

 下腹部をやさしーくなでられ腰を震わすぞくぞくとした感覚にしびれる満。由乃の
手のすぐ下では、満のペニスに血液が集まり始めていた。

 男子優遇方針の一つとして、南美端小学校では男子児童に定期的にエステを受けさ
せていた。可愛い男の子をもっと可愛く、そのためには時に薬物まで使われるその施
療によって少年たちの肉体は妖しい魅力を持つようになる。肌のつやを増すマッサー
ジ、無駄な体毛の脱毛処理、無意識下に刻み込まれる細かな仕草の数々、さらにはホ
ルモン投与―――南美端小学校を卒業した男子は、こういった工程によって可愛い男
の子に作り変えられる。
 中には徹底的に改造が加えられ、とても女らしい姿、男の娘にされてしまう子もい
るが、幸か不幸か満はそこまではされていなかった。

 湯船がそんなに大きいわけではないので、3人入ればかなり狭い。必然的に3人は
密着してお湯に浸かっていた。

「母さん、由乃……この状態、恥ずかしい……」
「何言ってるの、こうしないとあなた怖くて動けなくなっちゃうでしょ?」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと捕まえといてあげるから、お兄ちゃんは安心しててくれれ
ばいいから」
「ううう……」

 背後から幸恵にふんわりと抱きしめられ、柔らかい胸やお腹の感触が背中にダイレ
クトに伝えられる。一方反対側では由乃がぎゅっと抱きつき、凹凸の少ない体のすべ
すべの肌を押し付けて背中とは異なる気持ちよさを与えてくる。そしてすでに勃起し
ている満のおちんちんは由乃のお腹で押さえつけられていた。由乃が体を左右に動か
せばそれだけで満は達してしまうかもしれない。
 しかし、満に加えられる責めはまだ始まってさえいないのだ。

「じゃあまずは軽くね?こちょこちょこちょこちょ」
「ひっ!?あっああぁっ…ううぅ~~っうっふぅっ!」

 幸恵が満の耳元でこちょこちょと囁きかけると、それだけで満は唸りながら身じろ
ぎし始めた。2年間にわたって「こちょこちょ」と言われながらくすぐられ続けてき
た満は、この言葉を聞くだけでくすぐったさを思い出してしまい悶える体にされてし
まっている。条件反射というやつだ。

「ちょっ……母さんっそれ反則…んはぁっ!」
「うわぁお兄ちゃんすごくかわいい顔してる~♪けどお母さん、まだくすぐってない
のにお兄ちゃんどうしてこんな風になってるの?」
「満はね、こうやってこちょこちょって言われるだけでくすぐられたときのことを思
い出して笑っちゃうのよ」
「へー、そうなんだー。それじゃあこれからいっぱい言ってあげないといけないね」

 悪戯するときのにんまりとした笑みを浮かべた由乃がそう言って顔を覗き込むと、
満は何も言わず顔をそらす。お風呂に入っている間の満は一切抵抗できないのだ。

「それじゃあ由乃、お兄ちゃんをくすぐってあげるわよ」
「うん!」
『こちょこちょこちょこちょ~♪』

 幸恵と由乃は声を合わせてこちょこちょと言いながら、満の肌の上に指を這わせて
いった。

「んひぃ~っ!?ううぅっくっくくぅ~~っ!!あはぁっあ~っはははははは!!だ
めだっくすぐったいいぃ~~!!」

 腋の下を通った幸恵の手が満の右の乳首を軽くつまんでいじり、左側では腋を優し
く撫でる。由乃は満の首筋を舐めながら脇腹を左右からつつきまわす。まだそんなに
激しくくすぐっていないというのに満は大きく口を開けて笑い声を撒き散らしていた。

「ぐっぎぃ~っひひひひひぃっ!かあさんっよし、のぉっ!き、きききついってぇ~!!
ふひゃぁっはははははぁっ!もっとっやさ、しく、ひてぇぇっ!」
「ダァメ」

 由乃の言葉は実に簡潔だった。

「このくらいできついとか、お兄ちゃんちょっと怠けすぎなんじゃないの?クラスの
男の子でももっと我慢できるのに」
「だって、ううぅ、うぅっくぅ~~!く、くくぅ、ひさしぶり、だからぁっ」
「こんなんじゃ男の子失格だよ!これからはお兄ちゃんが立派な男の子になれるよう
私が毎日こちょこちょしたげる」
「あひぇぇっあひ、ひひぃっへへへへへぇあああ!」

 声が大きくなると共に由乃の手の動きも激しさを増していく。幸恵は娘の意思を尊
重してか、何も言わず息子をくすぐる手の力を強めた。

「だからこれからお兄ちゃんは私の言うことをちゃんと聞くいいお兄ちゃんになるの!
わかった!?」
「わははっ!わはぁっ!わかった!わかったからっ、とめてくれぇっへへっへぇっ!」

 その言葉を聞いてようやく由乃はくすぐりの手を止め、つられて幸恵もくすぐりを
やめる。

「えへへ~。お母さん聞いた?お兄ちゃんこれから私の言うことなんでも聞いてくれる
んだって」
「よかったわね由乃。それじゃあこれからお兄ちゃんのことは由乃にお願いするわね」
「うん、任せてよ!」
「ちょ、ちょっと待ってっ」

 しかし、くすぐりをやめて欲しくてつい言った一言がとんでもないことになりつつ
あるのを感じた満は、必死で食い下がろうとする。

「なんでもするなんて、そこまで言ってない!言ってないって!」

 そんな兄の様子を見て由乃はうっすらと意地の悪い笑みを浮かべる。

「へぇー?お兄ちゃんそういうこと言っちゃうんだ。私の言うことちゃんと聞くって
約束したのに、あれってその場しのぎのうそだったんだぁ」
「あ、いや、それは」
「お母さんこれってどう思う?お兄ちゃん悪い子だよねぇ」
「そうね。たっぷりお仕置きする必要があるわ」
「そんな……!」
「大丈夫よ満」

 幸恵は満の首元を優しく撫でながら、耳元で何事かを囁く。それを聞いて満は顔色
を変え、え、そんなの無理だって、などと小声でもらした。

「今言ったことをちゃんと約束できるんなら、由乃も悪いようにはしないと思うわよ」
「け、けど…」
「もういいよお母さん。お兄ちゃんてばお仕置きしないとわかんないみたいだから、
とりあえず目いっぱいこちょこちょしちゃお?」

 幸恵の言葉に即答できなかった満は、結局お仕置きされることになってしまったの
である。それからしばらくの間、浴室の中には少年の笑い声が反響し続けた。

「うぎゃああっははっははははははぁぁぁっ!!だめっ、やめろぉぉっくすぐったい
いぃぃぃ!!」

 自分の太ももを抱えてじっとするよう命令された満は、暗示によってその体勢から
動けなくされてしまう。足首から先だけはかろうじて動かすことが出来たが、由乃は
そこをつかんで激しくくすぐった。足の裏全体を指でくすぐるだけでなく、足の裏の
しわを一つ一つ丹念に爪でなぞり、また指をしゃぶったり指の間に舌を通して嘗め回
したり。それらの作業一つ一つに満は敏感に反応して笑いまくった。

「あひゃっひゃひゃひゃひゃ、あし、あしばっかりぃぃ!!うひゃぁっひゃっひゃっ
ひゃひゃひゃっひゃああああっ!!!かあさんっ!?そこはやだぁぁぁっははははは
はははぁぁっ!!」

 身動きの取れない満が湯船に沈まないよう後ろから支えていた幸恵だったが、彼女
は満の内股に手を伸ばし、太ももの付け根からお尻、袋にかけてを繊細なタッチでく
すぐり回した。単にくすぐったいだけとは違う甘い刺激が尾てい骨から駆け上がって
くるが、足の裏から送り込まれるくすぐったさと相まって満の思考はどろどろにかき
回されていた。

 その後も幸恵と由乃はあの手この手で満の全身をくすぐり回し、およそ10分が経
過した。

「はひっ、はひぃっ、…ひぃ、…ひへっ……えへぇっ…」

 体力を残らず搾り取られ、びくびくと痙攣しながら半笑いのおかしな呼吸音をもら
す満。うっすら開けられた瞳の焦点は合わず、涙と鼻水とよだれにまみれた顔には理
性のかけらも残っていない。湯船には満が出してしまった精液まで浮いている。

「ふふ…お兄ちゃんてばすっかり出来上がっちゃってる。男の子がとろけた時の顔っ
てどうしてこんなにかわいいのかなぁ」
「それはね由乃。余計なものがみんなそぎ落とされた素の表情だからよ。無防備に自
分をさらけ出した顔だから、素敵に感じるのよ」
「そっかぁ、これがお兄ちゃんの本当の顔なんだね」

 顔を見合わせてふふっと笑いあった母娘は、再びサンドイッチ状態で満を抱きしめ
ながら意識が戻るのを待った。

 心地よい疲労感とすっかり癖になっている甘い痺れにひたっていた満は、ほどなく
して暖かい感触の中に引き戻され、涙でぼやけた視界の中に笑顔の妹を見つけた。

「起きたんだねお兄ちゃん」

 由乃は満の目元に唇を寄せ、涙を舌で拭うと優しい声で問いかけた。

「お兄ちゃん、さっきお母さんに言われたこと、今度こそ約束できる?」
「う…ん、やくそく、するよぅ…」

何歳か若返ったような子供っぽい口調になった満は、はっきりしない頭のままで約
束の言葉を口にさせられる。自分自身に深く暗示を刻み込むための言葉を。

「これから、は、由乃の言うことをちゃんと聞く、いい子になりますぅ…」
「満?こういうときは自分から由乃にお願いするものでしょ?」

 幸恵の言葉に少し考えた満だったが、すぐに最後の言葉が搾り出される。

「由乃の言うこと、何でも聞くからぁ…お、俺がいい子になれるように、しつけてく
ださい…」

 普通の中学生ではなくなってしまう、妹への服従を誓う言葉を。

「よく出来ました。これなら満点だよ、お兄ちゃん」

 南美端小学校を卒業してようやくその呪縛から逃れることが出来た満。しかし彼は
家族によって再び深く深く縛られるのだった。

 そして風呂上りのことである。

「由乃ぉ……それ、やめてぇ…」
「ダメだよお兄ちゃん。先生に今日のことちゃんと報告いしないといけないんだから」

 服を着ることを許可されなかった満は全裸のまま部屋に戻らされ、今由乃の前でしゃ
がみこんでいる。足を大きく開き両手を頭の後ろで組んだ、恥ずかしい部分を一切隠せ
ないポーズだ。しかも由乃は携帯のカメラを満に向けている。

「ホラ笑って。きれいに撮ってあげる」
「ああぁ……」

 もう風呂場の外でも逆らえない。絶望的な状況なのに満の心には奇妙な充足感がある。
小学校を卒業するまで日常だった女の子に辱められ、弄ばれる生活が戻ってきたからだ。

「ちゃんと我慢できたねー。えらいよ、お兄ちゃん。ごほうびにこちょこちょしたげる。
こちょこちょこちょこちょこちょこちょ…」
「あっああっ!ふひっひぃっひひひああぁぁははぁっ!んっんんっくぅっくくぅぅっひ
ぃっひゃぁぁ!」

 そう言って、由乃はまだ熱が冷めないままの満の体に指を這わせる。快感として体に
覚えこまされたそのくすぐったさ抗う術は満にはなかった。

「今度友達連れてきて、一緒にお兄ちゃんのことくすぐったげる。頭のてっぺんから爪
先まで残さずこちょこちょしてあげるから。うれしいでしょ?」
「んひひひひぃっ!?ひゃっくふぅっ!しょんなぁ、やあぁっははははははははぁっ!!
くしゅ、くしゅぐったいのはぁやめてぇぇへへへへへひひひぃぃっ!!」

 南美端小学校では男の子を最高に幸せにするための教育が行われている。その対象は、
在校生だけとは限らない。