「恥ずかしい?」 アロエ

「恥ずかしい?」
壁に背中を押し付けられながら、真っ赤にさせた顔を俯かせてギュッと唇を噛みしめてい
る陸へと、祐輔が静かに問い掛けてくる。
「や、やめろってば……変な事するなって……」
引き絞る様な声で、陸はそう答えるのがやっとの状態であった。
クスッと、祐輔が口元をほころばせてくる。そしてそんな陸の下半身へ、改めて視線を向
けていく。
注がれる祐輔からの視線が、陸の中でいっそうの羞恥心を掻き立てる。
「だけど、こっちの方はかなりノリノリな気がするけど?」
「お前が触ってくるから……」
「なぁ、どうしてチンポがこんなカチンコチンになるのか、分からない訳じゃないだろ?」
「………」
陸は黙り込む以外に術がなかった。
窮屈な密室の中、壁と前後から挟み込む様に、祐輔が陸へと身体を密着させてきている。そ
してそんな祐輔の右手は、陸の股間をしっかりと掴んできながら、指を動かしその部分を執拗
に弄ってきているのだった。
「陸、今どんな感じ?」
祐輔からの問いに、思わず陸はドキッとしてしまう。
「知るか……」
「自分の事だろ?」
「祐輔……お前ホントいい加減にしろって、こんなの……シャレになんないから……」
「陸だって、こういうエッチな事に興味あるだろ?」
「だ、だからって……お前とそういう事する趣味なんかねぇよ……」
「そんな深く考えるなよ、ちょっとした遊びのつもりだってば」
「………」
休日の小学校。夕暮れ時の静まり返ったグラウンドの片隅にある、生徒用公衆トイレの個室
の中。その一室に、サッカーユニホームを着た陸と祐輔の二人はいた。昼間、この学校のグラ
ウンドでは、二人が所属する少年サッカーチームの練習で大いに活気付いていた。しかし今は
もうとっくに練習の時間も終わり、他の仲間達は全員帰路についている。そんな中、陸と祐輔
の二人だけが自主練という名目で残っていた。陸にしてみれば、本当にただ練習をもう少し続
けるだけのつもりだったのだが……

(何で、俺……祐輔なんかに……)
初めて経験する他者との性的な行為。しかし相手は同性の祐輔なのである。しかしそれで
もなお、祐輔からの刺激に陸の股間は露骨なまでの反応を示していた。
「陸、ここがただションベンするだけのもんじゃないって事くらい、もう知ってるだろ?」
耳元でそう囁いてきながら、陸の硬くなった股間へと、祐輔は指をいっそう強く食い込ま
せていく。
「んっ……ああっ……」
堪らず、陸は腰を大きく捩じらせた。気持ちとはまるで無関係に、股間の奥底からは急速
に欲望の高まりが増してきてしまう。
「陸の、すっげぇ元気一杯だな」
布地の中で敏感に脈打ってくる陸のペニスに、祐輔は満足そうな笑みを浮かべてくる。
「ホントにもうやめろ……そ、そんなにされたら……」
「もう限界?」
「………」
陸はすっかり窮してしまう。事実、すでに先走りの滴で陸の下着は徐々に湿り気を帯び始
めてきていた。
「このまま、スッキリさせてやるよ」
やがて、陸の心境を見透かす様に祐輔は言ってきた。
「祐輔……」
「誰もいないんだし、大丈夫だって」
祐輔はそう言うなり、陸が穿くユニホームのハーフパンツを掴んでくる。
ゴクリと、陸は生唾を飲み込んだ。緊張にすっかり全身が硬直してしまう。しかし陸は、
祐輔からの行為に抗う事が出来なかった。
そのまま、陸のハーフパンツは下着もろとも膝の辺りにまで一気に引き下ろされてしまう。
冷たい外気が股間の肌へと感じるや、陸は大きく顔を背けてギュッと瞼を閉じた。気兼ね
のない親友とはいえ、今のこの状況で下半身を露出させられるという事に、陸はいよいよ恥
ずかしさで一杯になってきてしまう。

「へぇ、陸って顔は女みたいに可愛いのに、こっちの方はなかなか男らしくて逞しいじゃん」
露わとなる陸のペニスを、祐輔は瞳を爛々と輝かせながら魅入ってくる。
未だ無毛の少年のペニス。しかしそれでも、硬くなった幹をピンッと反り返らせながら、
ピンク色の亀頭を包皮からわずかに覗かせている。未熟な肉体とはいえ、若々しい少年の欲
望をその部分は十分に漲らせているのだった。
「うっせぇ、そんなジロジロ見るなって!」
気まずさを誤魔化す様に、陸は声を荒げる。
しかし祐輔は何ら動じる様子もなく、むしろ意味ありげな笑みを陸へと向けてきた。そし
てそのまま、今度は直接に陸のペニスを右手で掴んでくる。
「あっ……んぁっ……!」
反射的に、陸はビクッと身を震わせてしまう。
間髪置かず、陸のペニスを祐輔は扱き始めてきた。
「どう、気持ちいい?」
「ゆ、祐輔……だめっ……もう、俺っ……!」
陸の強張った身体が、しだいにブルブルと震え始める。自分の手で慰める時とは比較にな
らない勢いで、陸の内から欲望が昂ぶっていく。最初は祐輔からの行為に激しく躊躇ってい
た陸も、沸き起こる快感への衝動に今やすっかり身を委ねる姿へと変わっていた。
そんな陸に対し、祐輔はいよいよ手の動きを活発にさせていく。
「ああっ!」
甲高い声を発し、陸は大きく背筋を仰け反らせた。
ハッと、祐輔は息を呑む。
怒張しきった陸のペニスから、一気に白濁が噴出する。幼さを色濃く残す容姿と肉体とは
裏腹に、限界を迎え爆発した少年の欲望は、勢いよく大量の精液をトイレの床へ撒き散らす
のだった。
しばし二人は放心状態となり、無言のまま立ち尽くす。二人の少年の荒い呼吸だけが、すっ
かり暗くなった室内に響き渡る。
しかしその時、祐輔は自らが穿くハーフパンツを静かに引き下ろしてきた。
快感の余韻も冷める間もなく、陸の視線は釘付けとなってしまう。
「今度は……陸が俺にして……」
いつの間にかギンギンに勃起していたペニスを陸へと曝け出しながら、祐輔は静かにそう
訴えてきた。
少年達の戯れは、まだ終わらない。